「自首をしたいので一緒に警察署に来てもらえないでしょうか。」「私の場合は自首をした方がよいのでしょうか。」 弁護士がこのようなご相談を受けることは、意外にも少なくありません。 今回は、そもそも「自首」とは何を指すのか、また自首のメリットやデメリットなどについてご紹介します。 【自首とは】 自首とは、犯人が誰であるか捜査機関に発覚していない段階で、犯人自ら、捜査機関に対して自己の犯罪事実を申告し、訴追を含む処罰を求める行為を指します。 そのため、捜査機関から接触があった場合はもちろんですが、たとえ捜査機関が犯人へ接触していなくても、捜査が秘密裡に進められており、既に犯人が発覚していた場合には、その後に捜査機関に犯罪事実を申告しても、法律上の自首は成立しません(もっとも、罪を犯した事を認め、自ら「出頭」したことが、その後の … [Read more...]
新宿清水法律事務所コラム
コラム形式で法律に関わる様々なテーマをわかりやすく解説。「もしも」の時に役立つ情報をお伝えします。
中止犯について
未遂と中止について(中止編) 犯罪をしてしまった、けど、後悔して途中でやめた。前回は未遂について紹介しましたが、今回は未遂のうち自主的に犯罪を途中でやめた場合について規定した中止犯について紹介したいと思います。 中止未遂とは 先日紹介したコラム(未遂と中止について(未遂編))では、犯罪が完結するまでの間には、犯罪を実行してからその犯罪の結果が発生するまでの一連の過程があり、未遂になるのは犯罪を実行したもののその犯罪の結果が発生しなかった場合であると紹介しました。中止未遂は、先日のコラムで紹介しました未遂のうち「自己の意思により犯罪を中止した」場合に成立することになります。 つまり、犯罪にあたる行為をしたものの自分でやめたという場合がこの中止未遂にあたるということです。 中止未遂については刑法43条ただし書に規定されていますが、これがなぜ定められているか … [Read more...]
否認権について
今日の緊急事態宣言の影響により、破産という選択をせざるを得なくなったということもあり得るかもしれません。もっとも、破産するからその前に一部の友人の分だけ返してしまおうとするなど下手に借金を返そうとしてしまうと新たな面倒事が生じる可能性もあります。 今回は、一定の形でした財産処分行為に対して行われるおそれのある否認権という制度の概要について紹介します。 否認権とは 否認権について、破産法は以下のように規定しています。 (否認権行使の効果) 第167条1項 否認権の行使は、破産財団を原状に復させる。 否認権が行使された場合には原状に復されるということなので、言い換えれば元に戻ることになります。そうすると、例えば、債務者が親友への借金だけは返しておきたいと思って借りていた100万円を親友に返していた場合に、否認権が行使されれば親友に返したはずの100 … [Read more...]
財団債権について
以前のコラムで破産法の免責を受けても免責されないものとして財団債権があると紹介したことがあります。もしかすると、せっかく免責を受けるのにこの財団債権が多額であるならば免責の意味がないように感じてしまう方がいらっしゃるかもしれません。では、どういうものが財団債権になるのでしょうか。今回は財団債権について紹介します。 新宿清水法律事務所コラム:破産による免責の効果 財団債権とは 財団債権とは、破産法(以下では、「法」といいます。)2条7項で、「破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいう。」と定義されています。破産財団が「破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するもの」を言いますので、財団債権に該当する債権については破産手続中でもその都度、破産財団に含まれてい … [Read more...]
破産者が使える財産について
破産をすると、財産を自由に使えることができなくなるという話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、個人破産の場合、破産者も人間ですから生きていくためにお金を使う必要があるのは言うまでもありません。法には、破産者自身が自由に使うことができる財産についても定めがあります。そこで、今回は、法が定めた破産者に自由な管理処分が委ねられる財産について紹介します。 破産手続開始前の財産について ⑴ 法律上自由財産とされているもの 破産法は、破産者が管理処分できない財産について、破産法2条14項で、「破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するもの」(これを、「破産財団」といいます。)と定めています。そして、この破産財団に属するものとして、破産法34条1項で、「破産者が破産手続開始の時において有す … [Read more...]