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日本の離婚の現状、動機、離婚方法について

日本における離婚数及び離婚率の推移

上記厚生労働省の推計によると、平成27年度の離婚数の推計は22.5万組(人数にすると50万人)で離婚率は1.80%です。これは1年間で約2分20秒ごとに1組のペースで夫婦が離婚(下記のいずれかの離婚方法は問いません。)している計算になります。
平成14年をピークに離婚数及び離婚率は減少していますが手放しで喜べるかというとそうではありません。
この原因についてですが、近年では「嫌婚」などという造語も出て来ていることからも婚姻に対するネガティブなイメージが広がって来た結果、婚姻数が減少したことによるものと考えられます。

離婚の動機(男女別)

最高裁判所事務総局平成26年(2014)「司法統計年報」によれば、夫もしくは妻による離婚申立ての動機をランキング形式で整理すると下記のとおりとなるようです(3つまで複数回答可)。
なお、これは離婚を申し立てる側の離婚の動機に留まり、法律上の離婚原因があるか否かとは別の話ですので注意が必要です。

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<夫側>

1位:性格が合わない
2位:精神的に虐待する
3位:異性関係
4位:家族親族と折り合いが悪い
5位:性的不調和
6位:浪費する
7位:同居に応じない
8位:暴力をふるう
9位:家庭を捨てて省みない
10位:病気

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<妻側>

1位:性格が合わない
2位:生活費を渡さない
3位:精神的に虐待する
4位:暴力をふるう
5位:異性関係
6位:浪費する
7位:家庭を捨てて省みない
8位:性的不調和
9位:家族親族と折り合いが悪い
10位:酒を飲みすぎる

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結果を簡単に分析すると

両者共通の1位が「性格が合わない」だそうです。よく聞く性格の不一致のことですね。その多くは婚姻時から性格が合わないことは認識していたものの、婚姻後にその程度が大きくなり、遂に我慢できなくなる程度にまで達したというケースだと考えられます。婚姻後に性格が合わないことを認識するケースは比較的には少ないのではないでしょうか。
次に、妻側の2位は「生活費を渡さない」であるのに対し、夫側には同項目は10位以内に入っていません。女性の社会進出が目覚ましいとされる日本ですが、稼ぐ妻が専業主夫の夫に生活費を渡さないというケースはまだ少ないようです。
そして、夫側の4位は「親族との折り合い」であるのに対し、妻側の同項目は9位に留まっています。夫側にとっていわゆる嫁姑問題が大きな離婚動機となっているものと考えられるのに対し、夫と妻の親族との折り合いが悪いことは相対的には少ないようです。
夫側の7位には「同居に応じない」とされます。これは恐らく妻が夫の言動に我慢できなくなって別居を敢行し、その後夫が同居を求めたものの妻が同居に応じないというケースが大部分なのではないでしょうか。
最後に、夫側の10位には「病気」が入っていますが、妻側には同項目は10位以内に入っていません。夫側は妻の病気を理由に離婚に踏み切るのに対し、妻側はそのようなことはないということのようです。

離婚の方法

離婚には4つの方法がありますので以下で一つずつ簡単に説明させて頂きます。

(1)協議離婚

夫婦がその協議(話し合い)に基づいて離婚することです。戸籍法の定めるところに従って夫婦双方及び成年の証人2人以上から原則として書面で戸籍法の定める届出を行うことによって成立します。未成年の子供がいる場合には親権者を指定することを要します。
4つの離婚方法のうち、最も手間暇がかからない方法です。

(2)調停離婚

協議離婚で話がまとまらなかった場合、家庭裁判所に対して離婚調停を申し立て調停で合意に達した場合に調停離婚となります。
話し合いにより合意に至らないと離婚に至らないという点で調停離婚は協議離婚と変わりません。調停離婚は協議離婚が成立しなかった場合が前提となっていますので再度の話し合いを継続しても合意に至らないとも考えられるため、そもそも離婚調停を申し立てる意味がないのではないかとも考えられます。
しかしながら、調停申立に意味がないということにはなりません。
まず、家庭裁判所という夫婦間の法律問題について専門知識を有した第三者機関の介入により、権利義務に関する誤解が解消され、または感情的対立が緩和され話し合いの機運が高まる、ということが往々にしてあります。
そして、現行法では離婚の請求について調停前置主義が採用されているため離婚の裁判(訴訟)を起こす前には必ず調停を申立てることが必要です。調停での話し合いによる解決の努力を経て、それが決裂した場合に初めて離婚の裁判を起こすことができることと法定されているのです。

(3)審判離婚

離婚調停が申し立てられ、夫婦の考え方の一部の相違で合意に達しない場合や調停離婚成立寸前で夫婦のどちらかが出頭に応じない場合等において、家庭裁判所が調停委員会の意見を聞いて調停に代わる審判により離婚を認めることがあり、これを審判離婚といいます。夫婦が離婚をすることで夫婦双方の利益になると判断したときに限り行われます。
審判離婚は2週間以内に当事者から異議申し立てがあった場合に限り、その効力が失われます。

(4)裁判離婚

離婚調停が不成立となると(調停前置)離婚の裁判(訴訟)を起こすことができるようになります。そして、法律上の離婚原因(民法770条1項各号)が存在する場合には裁判で離婚が認められることになり、これを裁判離婚といいます。
裁判は協議や調停などと異なり当事者の話し合いの場ではなく家庭裁判所が前記離婚原因の有無を証拠に基づき認定判断する場となります。もっとも裁判の過程で和解により離婚(協議離婚又は調停離婚の形式をとる)が成立することもあります。

新宿清水法律事務所の離婚事件の取扱い姿勢

当所では初回御相談時に、まず離婚裁判まで発展した場合を想定して法律上の離婚原因が有るか否かを瞬時に見極め、速やかに最も適切と考えられる手段による離婚請求ないしその防御に着手すると共に離婚の成立が見込まれる場合には適正な権利の獲得ないし義務の負担が実現されることに力を入れてゆきます。

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