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実刑判決が短くなる仕組み1 未決勾留日数の算入

懲役刑または禁固刑の有罪判決を受けて執行猶予が付けられなかった場合、刑務所で服役をしなければならないことになります。
その場合の判決は「懲役3年に処する」とか「禁錮2年に処する」と刑の種類と期間が明示されることになるのですが、この期間の間丸々刑務所で服役しなければならないのかというと必ずしもそうではありません。

BKD / Pixabay

今回は実刑判決の期間が短くなる仕組みのうち未決勾留日数の算入についてご説明致します。

実刑判決への未決勾留の算入とは、検察官に起訴された日から実刑判決言渡日までの間で勾留されている場合に、上記期間から刑事裁判の審理に必要な期間を差し引いた日数を実刑の先取り消化と捉え、実刑期間から当該日数を引いてもらう仕組みを指します。

この日数を算出する一般的な計算式は
起訴日から判決言渡日までの日数−30日−(公判回数−1)×10=10日未満を切上げないし四捨五入して算出
されます。

例えば

起訴日から判決言渡日までが98日として公判回数が5回だとすると、
98日−30日−(5−1)×10=28日→10日未満を切り上げないし四捨五入により30日が実刑に算入されて差し引かれることになります。

ところで、起訴前の逮捕•勾留による身柄拘束期間は捜査のため必要な期間と解されるため、上記の算定の際には考慮されません。
また、起訴後に保釈請求をしてそれが認められた場合には、その間は身柄拘束から解放されて自由な身にあるわけですから上記の算定の未決勾留算定には考慮されません。

保釈してもらって未決勾留の算定はされないけども拘置所の外で服役に向けた準備に備えるか、あえて保釈せずに少しでも未決勾留をもらって刑期を短くしてもらうか、という選択に迫られる場面が出て来ることになります。

有罪判決において未決勾留日数が算入される場合には、刑の種類と刑期が述べられた後に「未決勾留日数中30日をその刑に算入する」などと述べられることになります。

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