破産をすると、財産を自由に使えることができなくなるという話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、個人破産の場合、破産者も人間ですから生きていくためにお金を使う必要があるのは言うまでもありません。法には、破産者自身が自由に使うことができる財産についても定めがあります。そこで、今回は、法が定めた破産者に自由な管理処分が委ねられる財産について紹介します。 破産手続開始前の財産について ⑴ 法律上自由財産とされているもの 破産法は、破産者が管理処分できない財産について、破産法2条14項で、「破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するもの」(これを、「破産財団」といいます。)と定めています。そして、この破産財団に属するものとして、破産法34条1項で、「破産者が破産手続開始の時において有す … [Read more...]
Archives for 5月 2020
免責の要件について
破産をする最大のメリットは免責を受けることではないかと思われます。もっとも、実際に免責はどうやって受けられるのでしょうか。先日、免責の効果について紹介しました。 コラム:破産による免責の効果 そこで、今回はどうやれば免責を受けることができるのか、免責の要件について紹介します。 免責の申立て まず、破産法の条文についてみていくことにします。 破産法第248条1項 個人である債務者は、破産手続開始の申立てがあった日から破産手続開始の決定が確定した日以後一月を経過する日までの間に、破産裁判所に対し、免責許可の申立てをすることができる。(かっこ書省略) つまり、免責を受けるためには、破産開始決定の申立てをしてから破産手続開始の決定が確定した日の1か月後までの間に免責許可の申立てをしないといけないということになります。これだけ聞くと手続きが大変 … [Read more...]
破産手続開始決定と破産者の義務
破産手続開始決定と破産者の義務 破産をすると資格を失うという話は聞いたことがあるかもしれません。当所でも破産による資格制限に関連した話題として復権について紹介をしています。もっとも、破産により受ける影響はそれだけなのでしょうか。今回は、破産手続開始決定により生じる破産者の人的な義務について、破産法にある条文に即して紹介することにします。 個人破産・法人破産に共通すること ⑴ 説明義務 破産法は、破産管財人、債権者委員会、債権者集会の請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならないとしています(破産法40条1項柱書)。そして、この説明義務がある人として、以下の定めをしています。 破産法40条1項(柱書略) 1号 破産者 2号 破産者の代理人 3号 破産者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役及び清算人 4号 前号に掲げる … [Read more...]
破産後の復権について
破産後の復権について 今日の新型コロナウィルスによる緊急事態宣言で仕事をすることができず、破産という選択肢を取らざるを得なくなったという個人の方もいるかと思います。破産をすると様々な資格制限があるという話も聞いたことがあるかもしれません。もっとも、日本の破産法は破産者に対して制裁をもって臨む懲戒主義の発想には立っていないとされていて、そうした考え方から、破産という選択肢を取ることになった人の資格制限も永久的なものにはされていません。そこで、今回は資格の復活の制度である復権について紹介したいと思います。 復権とは ⑴ 復権とは 破産をした場合には様々な資格制限があります。様々な国家資格には、それぞれ該当する法律で破産をした人に対する資格制限について規定が設けられていて、こうした規定がある国家資格に、破産者がなることができません。また、国家資格以外にも、 … [Read more...]
破産による免責の効果
破産手続の免責について 個人の方が破産するという選択をした人にとって、その一つのゴールは免責を受けることだと思います。では、免責とは具体的にどういうものなのでしょうか。今回は免責の効果について紹介します。 免責とは 破産法には、免責の効果として次のような定めがあります。 破産法第253条1項 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。 (※本文のみ) 破産債権というのは、破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、財団債権に該当しないもの(破産法2条5項、かっこ書省略)をいいます。破産しようと決意するに至った数々の債務は基本的にはこれにあたることになると思われますので、免責許可の決定が確定すると、破産者は破産手続による配当によって弁済されずに残った債務の全 … [Read more...]