新型コロナウィルスや、緊急事態宣言が出たことにより自宅待機となり、家族が家にいることが増えたのではないでしょうか。そうした中で、夫婦喧嘩が繰り返され、夫婦の関係が円満でなくなったといった場合もあるかもしれません。 今回はそうした場合に裁判所が用意する手続きである夫婦関係調整調停(円満)(以下では、「円満調停」と言います。)の制度を紹介したいと思います。 夫婦関係調整調停(円満)とは 円満調停の手続きでは、円満な夫婦関係の回復のため、家庭裁判所の手続きを利用することができます。 ここでは、調停委員(40歳以上70歳未満の社会の各分野で活躍してきた人で最高裁判所に任命された人)と呼ばれる男女1名ずつが入る部屋で、夫や妻から事情を聞き、夫婦関係が悪化した原因を探り、どのようにすれば夫婦関係を改善することができるのか模索し、助言を行い、解決策を提示するとい … [Read more...]
Archives for 4月 2020
破産申立てをすることができる人
前回、破産の申立てをするために必要な条件について紹介しましたが、破産の申立ては誰ができるのでしょうか。誰でも自由にできるものなのでしょうか。今回は破産の申立てをすることができる人(=申立権者)について紹介したいと思います。 破産法の条文 まず、破産の申立てをすることができる人について、破産法は、以下のように定めています。 (破産手続開始の申立て) 第18条1項 債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができる。 このように定められていますので、債権者と債務者に破産手続開始の申立てをする権利があることが分かります。 債務者 このうち、債務者については、言い換えれば、破産をしようとしている本人ということになりますので、債務者が申し立てる破産開始手続の申立ては、「自己破産申立て」と呼ばれることもあります。 債権者 他方、条文上債権者にも破産 … [Read more...]
破産手続と受任通知(一般消費者向け)
新型コロナウィルスとその対応のための緊急事態宣言の影響で仕事を休まざるを得なくなった。その影響で借金を返す見通しが立たなくなった。今日の未曽有の事態にこのような状況に追い込まれている方もいらっしゃるかもしれません。 そこで、今回は破産するかもしれない状況にある方が弁護士に相談し、弁護士が受任した際に弁護士がすることのうち受任通知について紹介したいと思います。 なお、今回の紹介は一般の個人様の場合であり、個人事業主や法人の場合には受任通知を送るべきではない場合もありますのでこの限りではありません。 受任通知とは 受任通知とは、弁護士が債務整理(借金を減らしてもらうよう交渉する、支払いを待ってもらえるようにするなどの方法により借金で首が回らない状態を何とかするための手続き)を受任した際に、債権者に対して、弁護士が受任したということを知らせるものを言いま … [Read more...]
「支払不能」と「支払停止」
新型コロナウィルスの影響や、その他の影響で資金繰りが苦しくなった。破産を検討したい。破産を裁判所に申し立てるためには法律が定める破産手続開始の要件を満たす必要があります。 そこで、今回は破産手続開始の原因として定められる「支払不能」と、その判断に大きな影響を与える「支払停止」について紹介します。 「支払不能」と「支払停止」 「支払不能」と「支払停止」については破産法15条に定めがあります。 破産法15条(破産手続開始の原因) 1項 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。 2項 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。 このように定められていますので、破産手続を開始するためには「支払不能」であることが必要となります(なお、合名会社及び合資会社を除いた法 … [Read more...]
内縁の解消について
今日では、法律上の結婚ではなく内縁関係という選択をする人も少なくないと思います。また、内縁関係として現在同居している人も数多くいらっしゃると思います。しかし、今日の緊急事態宣言下で在宅勤務になり、共にいる時間が増えて、その結果として喧嘩が増えてしまっているということもあるかもしれません。もしかすると、関係解消を考えている人もいるかもしれません。 ただ、内縁関係が認められる場合に正当な理由なく安易に関係解消をしようとするのはリスクがあります。 そこで、今回は内縁関係について紹介したいと思います。 内縁関係についての判例の考え方 内縁関係について説明したリーディングケースとされる判例として、最判昭和33年4月11日民集12巻5号789頁があります。これは、婚姻届こそ出していないが結婚式を挙げた男女が同居していたものの、結婚式から1年半後、男性側の家族が女 … [Read more...]