今回は、被疑者段階における逮捕・勾留からの早期釈放を実現するための弁護人の具体的な活動内容についてお話したいと思います。 【逮捕・勾留前後の手続きの確認】 警察官は、被疑者を逮捕した時から48時間以内に留置の必要を勘案し、留置の必要があると判断した事件について検察官へ送致する手続きを取ります(刑事訴訟法第203条1項)。 事件送致を受けた検察官は、24時間以内に、引続き被疑者の留置の必要があるか検討し、留置の必要があると判断した場合には、裁判官に対し勾留請求を行います(同第205条1項)。 勾留請求を受けた裁判官は、被疑者に対し勾留質問を行ったうえ、勾留の理由ありと判断した場合には勾留決定することになります(同第207条1項、第60条1項、第61条)。 勾留が決定されると、原則として10日間、引き続き警察署内の留置施設における身体拘束 … [Read more...]
実刑判決が短くなる仕組み1 未決勾留日数の算入
懲役刑または禁固刑の有罪判決を受けて執行猶予が付けられなかった場合、刑務所で服役をしなければならないことになります。 その場合の判決は「懲役3年に処する」とか「禁錮2年に処する」と刑の種類と期間が明示されることになるのですが、この期間の間丸々刑務所で服役しなければならないのかというと必ずしもそうではありません。 今回は実刑判決の期間が短くなる仕組みのうち未決勾留日数の算入についてご説明致します。 実刑判決への未決勾留の算入とは、検察官に起訴された日から実刑判決言渡日までの間で勾留されている場合に、上記期間から刑事裁判の審理に必要な期間を差し引いた日数を実刑の先取り消化と捉え、実刑期間から当該日数を引いてもらう仕組みを指します。 この日数を算出する一般的な計算式は 起訴日から判決言渡日までの日数−30日−(公判回数−1)×10=10 … [Read more...]
日本の離婚の現状、動機、離婚方法について
日本における離婚数及び離婚率の推移 上記厚生労働省の推計によると、平成27年度の離婚数の推計は22.5万組(人数にすると50万人)で離婚率は1.80%です。これは1年間で約2分20秒ごとに1組のペースで夫婦が離婚(下記のいずれかの離婚方法は問いません。)している計算になります。 平成14年をピークに離婚数及び離婚率は減少していますが手放しで喜べるかというとそうではありません。 この原因についてですが、近年では「嫌婚」などという造語も出て来ていることからも婚姻に対するネガティブなイメージが広がって来た結果、婚姻数が減少したことによるものと考えられます。 離婚の動機(男女別) 最高裁判所事務総局平成26年(2014)「司法統計年報」によれば、夫もしくは妻による離婚申立ての動機をランキング形式で整理すると下記のとおりとなるようです(3つまで … [Read more...]
刑事手続きにおける示談の重要性について
「示談」とはそもそも何か 犯罪により被害を被った被害者は、受けた損害について、犯人である加害者に対して、民法第709条が定める不法行為に基づく損害賠償請求権を取得することになります。 被害者がこの権利を行使して損害の回復を現実のものにするためには(金銭を実際手元に手に入れるまでには、という意味です。)、一般的には、弁護士へ依頼して民事裁判を提起し、請求認容判決を取得した上で犯人の財産を調査し、差押え対象となる財産の存在が明らかになった場合に初めて強制執行をして判決で認容された損害額を回収することができるようになります。その場合でも損害全額を回収できる保証はありません。被害者はこの段階に至るまでに弁護士費用や裁判費用などの相当なコストと時間をかけることになります。 以上のデメリットを回避し、犯人から被害者へ一定の損害を早期かつ任意に支払うことを … [Read more...]
刑の執行猶予が得られるかどうかの判断方法
執行猶予とは 刑の執行猶予とは、刑(3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金)の言渡し時に情状を考慮して一定期間その執行を猶予し、その期間を滞りなく経過したときは刑の言渡しの効力は失われるとする制度です。 より簡単に言えば、刑事裁判を受けて一定以下の刑の言渡しを受けた場合であっても執行猶予が付けば刑務所に入らずに済む(なお、猶予期間中は当然犯罪は犯してはなりません。)制度です。 執行猶予が付くか付かないかで刑務所で服役しながら更生するのか、刑務所の外で日常生活を送りながら更生するのかが決まるわけですから被告人(犯人)にとっては大きな関心事となります。 執行猶予制度の目的は、いざというときには刑が執行されるという心理的強制を課すことで被告人(犯人)の自発的な更生を図ることにあります。 初めての執行猶予を言い渡される場合の条 … [Read more...]