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性格の不一致と離婚

様々な事情により夫婦ともに家にいる時間が増えた。しかし、一緒に過ごしてみると性格が合わないように感じる。こんなとき離婚という言葉がちらつくかもしれません。しかし、性格の不一致で離婚というのは現実的にどの程度可能でしょうか。

 今回は性格の不一致と離婚について取り上げてみます。

法律上の離婚原因と性格の不一致の位置づけ

かつて、当所のホームページで離婚原因について紹介したことがあります。

 

法律が定める離婚原因

 

 法律上の離婚原因としてどのような定めがあるかということについてはこちらで詳しく紹介しています。また、この中で、性格の不一致の位置づけについては、民法770条1項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に位置づけられ得ることになるものの、性格の不一致という点だけでは「その他婚姻を継続し難い重大な理由があるとき」には基本的に該当しないということも紹介しています。

 このことは裁判例を見ても表れています(裁判例なので、一般化はしづらいところですが、裁判所がかつてこう判断したことがあるという点では参考になります)。

 例えば、夫から妻に対し離婚を請求した事案である東京高判平成30年12月5日判時2427号16頁では、以下のように判示しています。

一般に,夫婦の性格の不一致等により婚姻関係が危うくなった場合においても,離婚を求める配偶者は,まず,話し合いその他の方法により婚姻関係を維持するように努力すべきであるが,家事専業者側が離婚に反対し,かつ,

家事専業者側に婚姻の破綻についての有責事由がない場合には,離婚を求める配偶者にはこのような努力がより一層強く求められているというべきである。また,離婚を求める配偶者は,離婚係争中も,家事専業者側や子を精神的苦痛に追いやったり,経済的リスクの中に放り出したりしないように配慮していくべきである。

この裁判例では、「単身赴任中に何の前触れもなく突然電話で離婚の話を切り出し,その後は第1審被告との連絡・接触を極力避け,婚姻関係についてのまともな話し合いを一度もしていない」ことを挙げて第1審の離婚を認めた判断を覆しています。この裁判例は、離婚請求を受けた相手が家事専業者であり、共働きのケースなどに必ずしも一般化することはできません。しかし、高等裁判所の裁判官がこのように判断し、離婚を認めた第1審の判断を覆したという事実があることは考慮するに値する事情と言えるでしょう。このことからみても、法律上の離婚原因として、性格の不一致は認められにくいということが分かると思います。

話し合いの中での離婚

以上で紹介したのは、裁判上で離婚を争う場合ですが、話し合いの中で離婚を目指す一つの道として、協議離婚があります。協議離婚は要するに夫婦間での話し合いの中で離婚をすることを決めるということですので、双方の合意があれば離婚をすることは可能です。

 また、もう一つの道として夫婦関係調整調停(離婚)の申立てにより、前に紹介した夫婦関係調整調停(円満)の場合と同様に調停委員がいる中で離婚に向けた話し合いを行い、合意が形成できれば離婚をすることが可能です。

 もっとも、いずれの場合も夫婦(場合によっては第三者が混ざることもあるでしょう)でじっくりと話し合いをした上で合意を形成する必要がありますので、一方的に性格の不一致があるから離婚するということが認められるものではありません。

まとめ

以上で紹介したように、単なる性格の不一致を理由として一方的に離婚をするのは簡単ではないことがわかります。もっとも、これはあくまで裁判所が過去にこのように考えたことがあるという話にすぎませんし、依頼者様の事情次第では離婚が認められる場合があることも当然あり得ます。こうした判断はインターネット等で調べるのみでは難しく、専門家の意見を聴くことが大切です。そして、緊急事態宣言下で一時的に一緒にいる期間が増えたために性格が合わないように感じたというだけにすぎないということも考えられることですので、第三者に相談し、気持ちの整理をつけることも大切かもしれません。そして、その第三者として弁護士を選ぶことももちろん可能です(濃厚接触にならないよう十分に注意することは言うまでもありません)。当所においても電話やメールなど対面でない様々な方法でそうした相談を受け付けていますし、必要性が高いようであれば対面での面談も可能です。

 当所では、依頼者様の事情を踏まえ、客観的な離婚の可否についての可能性を検討し、依頼者様にご案内をした上で、ご依頼がありました場合には依頼者様の要望に最大限にお応えできるよう入念に準備をしてゆきます。

 まずはお気軽にご相談ください。

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