はじめに
ご家族やご友人が逮捕されてしまった。捕まっているご家族やご友人に連絡をしたい。こういうときにはどうすればよいでしょうか。
以前のコラムで、逮捕されたらどうなるかということについて紹介をさせていただきました。
コラム:突然の逮捕・家族に出来る事
この中で、逮捕されてしまうと、長期間外に出ることができないこと、家族や友人の接見が制限されてしまうことがあることを紹介させていただきました。
他方で、弁護士については接見を行うことができることも簡単に紹介しましたが、今回は接見についてもう少し詳しくみていくことにします。
弁護人の接見とそれ以外の人との接見
まず、弁護人は、原則として弁護士の中から選任しなければなりません(刑事訴訟法第31条1項)。
その上で、弁護人の接見方法について刑事訴訟法に規定があり、
身体の拘束を受けている被告人または被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となるとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる(刑事訴訟法39条1項)
とあります。
このように、弁護人や弁護人となろうとする者(弁護人になる依頼を受けたが、まだ選任手続が完了していない人のことです。以下ではまとめて「弁護人」といいます。)は立会をする警察官などがいない環境で接見をすることができます。
他方で、弁護人ではないご家族やご友人などの場合について、刑事訴訟法では違う規定が用意されています。
勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
(刑事訴訟法80条、被疑者の場合は207条1項による準用)
このように、接見禁止がついていない場合で、法令の範囲内で会うことは許されますが、この場合の接見では立会人がついたり、録音録画されたりする(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律116条1項、同218条1項など)などの対応がされることになります。また、捜査や施設管理の都合などの理由で接見交通を制限されることもあります。ただし、逮捕段階(逮捕されてから勾留されるまでの間のことを指します。)の場合は、法律上規定がなく、諸説あるのですが、刑事訴訟法80条を準用する規定がないので、接見の権利自体が認められていないという考え方が有力になっています(検察官や警察官の対応により接見ができることもあります)。
これらをまとめますと、ご家族やご友人などをはじめとする弁護人以外の方と異なり、弁護人は逮捕段階から、立会人なくして接見することができるという違いがあることになります。
接見禁止について
接見禁止については、刑事訴訟法81条に規定があり、逃亡または罪証を隠滅(証拠を捨てるなどが挙げられます。)すると疑うに足りる相当な理由があるときには、裁判所の決定で接見を禁止されるというものです。
ここでいう、逃亡・罪証隠滅のおそれは勾留するかどうかの判断においても使われている事情です。しかし、勾留しても接見交通を許すことで逃亡・罪証隠滅のおそれがあると判断されてしまう場合、言い換えれば勾留のみでは逃亡・罪証隠滅のおそれが解消できないという場合に接見禁止が付されることになります。
接見禁止が付されてしまいやすいケースとしては、暴力団組織が関与する事件や、会社ぐるみの犯罪、汚職事件など、逮捕勾留されている人以外にも事件にかかわっている人がいて、関係者が接見に来る可能性があり得る犯罪が代表例ですが、近時ではこれらと同様に集団で犯罪を行う傾向のある振り込め詐欺の場合でも接見禁止が付される場合が多いです。
接見禁止は全面的に接見が禁止される場合や、両親以外との接見が禁止されるなどの個別的な禁止、期限を起訴までとするなどの期限付きの禁止など様々な制限の例があります。ただし、この場合でも弁護人との接見を禁止することはできません。その意味でも、弁護人は勾留されている人が会うことができ、頼ることができる強い味方ということができます。
まとめ
今まで見てきたように、接見については、弁護人とご家族やご友人などの弁護人以外の者とでは、接見ができる期間、立会人の有無、接見禁止の場合など様々な点で違いがあります。ご家族やご友人が接見することが難しい場合にも弁護人は基本的に接見することができます。本人様からしても逮捕段階から早期に味方の立場の人間と相談することができ、また、気持ち的に立会人がいるところでは話したくないことも相談することができるので弁護人がついているのは大きな魅力ということができます。
当所では、早期釈放に向けての弁護活動に力を入れており、また、これまでも依頼者様の様々なご要望にお応えしてまいりました。逮捕されたときから周囲に味方がなく心細い状況にあるご本人様を一刻も早く助けるためにも迷う必要はありません。まずはお気軽にご相談下さい。